四畳半神話大系 第9話 秘密機関「福猫飯店」感想

いままでぬるいサークルを選んできた「私」(声:浅沼晋太郎さん)。

1つのサークル選択で失敗。ならば複数のサークルを選択しても失敗。そんな「私」がバラ色のキャンパスライフを目指して今回選択したのは、大学サークルの裏組織ともいえる「福猫飯店」。

ナレーション:私の裏稼業は自転車整理軍の総長。
       違法駐輪自転車は売り飛ばし、ゴージャスなバラ色のキャンパスライフを築く礎となる。

えっ、へたれキャラの私が自転車整理軍の総長にまでのしあがってる!? と思ったらそれにはワケがあったのでした(笑)。

それはさておき、バードマンサークルの飛行機を強奪する自転車整理軍。追いかけてきた明石さん(声:坂本真綾さん)のビンタが「私」に炸裂。

明石さん:先輩はアホです(エコー)

この明石さんの気の強さはいいですよねー。

ナレーション:みなこの世の真実を知れ! 金で買えぬ物などこの世にはないのだ!
…しかし心が痛むのはなぜか?

そしてここに至るまでの回想に突入。

四畳半神話大系 第9話 秘密機関「福猫飯店」感想

今までのサークル選択の失敗を繰り返さないため(?)、入学時の「私」が背水の陣で選んだチラシは「福猫飯店」。

ナレーション:まさか秘密機関と大々的にチラシに書く秘密機関があるわけ無いと思っていたが、
       福猫飯店は看板に偽りなく秘密機関なのであった。

大学の1組織(?)がどれほどのものかと思えば…

ナレーション:下部組織に図書館警察、印刷所、自転車にこやか整理軍、その他、
      有象無象の非公認サークルをひっくるめて福猫飯店といった。

図書館警察は樋口師匠の本の取立て、印刷所は6~8話で3つのサークルを掛け持ちしていた「私」がお世話になっていた偽造レポート作成組織、自転車にこやか整理軍は3話で「私」のフルスペックマシンの自転車を撤去したサークル。

どれも既に今までの話で登場している怪しいサークルですね。それらを統括するのが「福猫飯店」ということは、かなり危ない組織のような…?

「大学中の裏稼業を一手に引き受けている裏組織」が入学式で新入生勧誘しているのか!? というのがちょっと疑問ですが、そのあたりはまあおいといて(笑)。

現在、福猫飯店の店長(つまりトップ)は相島(声:佐藤せつじ)。

相島は第1話で小津を賀茂大橋に追い詰めたり、2話の映画サークル「みそぎ」でも城ヶ崎先輩がらみで姿が出たり、5話ソフトボールサークル「ほんわか」回では逃亡する「私」と小津の追っ手。読書サークル「SEA」でも読書中のサークルメンバーの間を、騒音を出す者許すまじと見回りしていたキャラです。

そんな風に今まで謎のベールに包まれていた相島の正体がようやくわかりましたね。ちなみに相島先輩の表の顔は、図書委員長と映画サークル「みそぎ」の城ヶ崎先輩の太鼓もち(笑)だそうです。

そして今回この福猫飯店で出会ったのが小津(声:吉野裕行さん)。

ちなみに「福猫飯店」は学生たちの個人情報を入手しており、

相島:君がレンタルビデオ店で何を借りたか、スーパーコンビニで何を買ったか、
   どんな本を読み何を送受信したか、子供の頃はどんなにおいのする赤ちゃんだったかなど、
   すべてはお見通しであるぞ

なんだとか。…あれ? この内容は第1話で「神様」を名乗った樋口師匠が「私」に語った内容と似てますよ。

思い返せば、第1話の樋口師匠(声:藤原啓治さん)が「私」の縁結びの神をかってでたのは、小津の差し金だったと思います。

ということは、あのときの樋口師匠の「私」に関する情報を知っているとほのめかした言葉は、あながち「私」を丸め込むための口からでまかせではなく、小津が福猫飯店の情報網を使って「私」の個人的な情報を入手していたとも考えられますね。

小津と私はまず図書館警察に配属。

図書館警察は貸し出し図書の延滞者の情報収集もやっていたのが、本来の目的を逸脱(笑)。個人に関するありとあらゆる情報を収集して、今では政治にまで関与できる組織になっていたというむちゃくちゃな組織。

いきなり樋口師匠担当になった「私」は1年間かかっても1冊の本を取り立てられる事ができず、「落ちこぼれ」に。

一方小津は延滞図書の取立てに辣腕をふるって、1回生ながら相島先輩の右腕へと出世。

焼肉店で小津に愚痴る「私」への小津の言葉。

小津:非の打ち所のない人柄、巧みな話術、明晰な頭脳、
   かわいらしい容貌、こんこんとあふれて尽きる事のない隣人への愛。
   人から愛される秘訣はこれです。
「私」:黙れ、ぶち殺すぞ!!

真面目で要領の悪い「私」と、したたかで要領のいい小津。

どうしてこの2人が仲がいいのか、傍から見れば謎ですね。

小津:ま、どんなにあなたが頑張ろうと、僕は全力であなたをダメにします。
「私」:あ?
小津:私達はどす黒い糸で結ばれているというわけです。

今回のぐるぐる巻きで落ちていくイメージ映像はフィリピン海溝でした(笑)。

とうとう2回生の6月、「私」は図書回収の才覚なしという事で「印刷所」へ異動。偽造レポート量産組織の配達係になりました。

3話サイクリング同好会「ソレイユ」で「私」がやっていた怪しい配達バイトがこの印刷所の仕事だったんですね。偽造レポートの配達。

出世するために、営業で顧客開拓。トラックで偽造レポートを配達するまでに。しかし打ち上げ花火(by 小津)で配達するレポートが燃えてしまう大失態。

この打ち上げ花火は1話で「黒いキューピッド」だった「私」が小津と2人でやったもの。今回小津は一人で、もしくは映像には映っていなかった誰かとやったのでしょうか?

常に周囲の人間関係に不協和音が響いていないと落ち着かない、と「私」に言わしめた小津ですから、案外この世界では一人でやったのかも(笑)。

ナレーション:この事件で顧客200余名が単位を落としてしまうという、
       「印刷所」始まって以来の信用をおとす惨事をおこしてしまった。

真面目な学生たちにとっては「メシウマ」な事件だったでしょうが、これは印刷所にとっては痛い汚点。次第に福猫飯店で立場がなくなっていく「私」。

そんな頃、「私」は相島先輩から「ある新入生の情報を探り、先輩と接近させる事」を命じられるのでした。

その新入生は明石さん。

城ヶ崎先輩の太鼓もちをしていた相島先輩は、映画サークル「みそぎ」を手伝っていた明石さんに目をつけたのでした。

明石さんの情報を探ってくるように言われた「私」は蛾をきっかけに明石さんと親しく会話。

もちぐまんの事など、親しげに会話をする様子を見られた「私」は相島先輩の機嫌を損ねて「自転車にこやか整理軍」へ左遷。

そういえば、もちぐまんに関する明石さんの言葉。失くしたもちぐまんの事ですが、

明石さん:昔から探さなくてもナゼだか必ず戻ってきますので。

このセリフちょっと気になりますね。

この明石さんが失くしたもちぐまんは後に小津が図書館警察の情報網を使って発見&回収。

まるで誰かに拾われるために…という小津の言葉は明石さんの言葉の言葉を裏付けるようです。

そんな小津が、

小津:恋に遊びにおおいそがしですわ。

といいながらかかってきた携帯電話への応対。

小津:えっ、ちょっと、そんなこと急に言われても…

この電話の相手が気になりますね。恋に遊びに…というところにタイミングよくかかってきた電話。

電話の相手別、予想パターン。

たぶんもう「私」が3回生になっている時期だと思うので、時系列的に考えれば当てはまるのはこの3人くらい?

個人的には、樋口師匠の「課題」じゃないかと思うのですが。自転車にこやか整理軍のバードマン・サークルの飛行機強奪前なのは確かなので。

ちょっと根拠が薄いので自信はありませんせんが(笑)。

この後、相島は城ヶ崎先輩の失脚を謀ります。香織さんを誘拐して城ヶ崎先輩を脅迫しようと、城ヶ崎先輩の部屋へ忍び込む相島一味と「私」。

相島が城ヶ崎先輩の失脚を狙った理由が「明石さんの尊敬を得るため」というのがダメすぎる気が。

城ヶ崎先輩も明石さんに興味がありつつも、例の毅然とした態度に阻まれて手が出せなかったというのに、何を勘違いしたのでしょうか。

城ヶ崎先輩と香織さんの純愛に比べて、相島の卑怯さに嫌気がさした「私」。カッコよく相島を叱責…はできませんでしたが、

「私」:こんなあほなことするもんかー!!

と叫び、相島に手を貸す事を拒んで、その場を逃げ出す「私」。

かっこよくはないけれど、真面目で容易に信念を曲げない「私」らしい行動ではありますね。

逃げ出した先で、毎度おなじみの木屋町の占い婆に相談。

占い婆:はい、9,000円。
「私」:大台に近い!?

毎回1,000円ずつ値上がりしていくので、この会話を聞くと「もう9話まできちゃったんだなー」と思いました(笑)。

相島先輩からの報復におびえながら大学へ行くと、なんと相島先輩失脚。代わりに「福猫飯店」の店長におさまったのは…

小津:あら、お久しぶり
「私」:(声にならない声)
小津:ぼく、福猫飯店の店長になっちゃったんですよ

小津はいつから相島先輩の失脚を狙ってたのか? 時期的にもあの電話がきっかけだったような気もするんですが。

小津:どうです、手伝ってくれませんか? いいかげん、ええ目を見てもええのちゃいますのん?

若い人が話すにしては、ちょっと濃すぎる気もするコテコテの関西弁。大学生くらいだと、普通もうちょっと薄いですよねー(笑)。

かくして「私」は小津の後押しで自転車にこやか整理軍の総長に就任。冒頭で明石さんにビンタをくらう身になったわけです。

ナレーション:全て手に入れたはずの私であったが、どこで何を間違えてしまったというのか?

軽い失望感で考え込む「私」のところに、ようやく図書館から借りた「海底二万海里」を読み終えた樋口師匠が喜びを報告しに来るのでした。

「もっと有意義で、バラ色で、一転の曇りのない学生生活があったかも…」と悩みを吐露する「私」に、

樋口師匠:可能性という言葉を無限定に使ってはいけない。

と説く樋口師匠。伊達に8年間も大学生やってませんね(笑)。ここからの樋口師匠の言葉は実に含蓄があります。「バラ色のキャンパスライフが存在しない理由」は実におっしゃるとおり。

樋口師匠:今ここにいる君以外、他の何者にもなれない自分を認めなくてはいけない。
     君が有意義な学生生活を満喫できるわけがない。
     私が保証するからどっしりかまえておれ。

言葉のうわべだけ聞くと、実に嫌ーな事を言ってますね(笑)。でもこれって、小津の「あなたを全力でダメにします」と同じ意味合いでは?

ということは、小津がいつも「私」に言っているのは…。

そして羽貫さん(声:甲斐田裕子さん)から小津に関する意外な事を聞く「私」。

羽貫さん:でも純粋なのよね。小津君あれで彼女思いだからさ。

小津に彼女がいたという事実。

1回生の時、テニスサークルで知り合った彼女。去年は一緒に五山を見に行ったけど、人ごみにもまれて見ることができず、彼女が泣いてしまったという話。

羽貫さん:今年は五山を同時に見るつもりらしいよ。
「私」  :五山を同時に見られる場所など在りません。空でも飛ばない限り。

その通り。だから、小津は空を飛ぶために「ほんわか」の飛行船の強奪を計画。ただ彼女と五山を見るという飛行船デートのためだけに。

小津の計画を知った相島は、小津に復讐するために妨害を計画。

相島:そうはさせないよ、君だけいい思いさせてなるものか!!

相島先輩のすばらしい小物っぷり。まさにかませ犬(笑)。

事ここにいたって、初めて小津に対する認識の誤りを感じ始めた「私」。

ナレーション:私は小津のことを見誤っていたのかもしれない。

飛行船を強奪して、彼女の元へ飛ぶ小津。一緒に五山を見るため浴衣まで着てくるとは。まさに純情。

しかし、相島先輩の妨害によって落ちる飛行船。

彼女がいる塔のところで、彼女を上手く拾えず飛行船が降下していくシーン。思わず操縦を離れて彼女の姿が見える窓へ駆け寄っていく小津がいじらしいです。

彼女と空中で手と手をつないで、ジブリの「千と千尋の神隠し」の千尋とハクの空中ランデブー・シーンのようなラブ・シーンを展開する小津。

ナレーション:これまで「私」は無意義な暮らしぶりをしてきたが、
      それは小津も同じだと思っていた。
      しかし、小津は無意義な学生生活を力いっぱいエンジョイし、彼女がいて、
      アホなみの純愛度である。不毛なのは私だけであったのか…。

小津が「私」と同じく無意義な生活をしているとばかり思い込んでいた「私」。ある意味バカにしてきた小津の別の一面に打ちのめされます。

小津も同じだと勝手に思い込んで、油断してきた「私」の衝撃。学生生活なんてこんなもんだ…とあきらめ半分だったのに、小津は複数サークルに所属。「福猫飯店」では全力投球で出世街道を突っ走り、その上彼女と純愛まで果たしていたという事実。

しかも福猫飯店で登りつめたのは彼女のため。その権力を彼女のために私的濫用するため(笑)。なんというバイタリティとアホさ(笑)。

福猫飯店が有意義かといえばそうで無い気もするけれど、それは棚上げすればなんだか異様な充実ぶり。

ナレーション:責任者はどこか? どうあがいてもこうなるなら、何もしないが一番だ。
       四畳半から一歩たりとも出ぬがよかろう。

今までどのサークルを選んでも、今回福猫飯店を選んでも、「バラ色のキャンパスライフ」をおくる事ができなかった「私」。

とうとう次回は引きこもりを選択するようです。


ようやくわかりましたが、小津が付き合っている彼女は、「私」が第1話のテニスサークル「キューピット」で1回生の時に振られた小日向さん。

つまり、5話のソフトボールサークル「ほんわか」で出てきた健康食品会社「ほんわか」の令嬢の小日向さん。

「私」がイメージする理想の「黒髪の乙女」で、テニスサークル・ルートの時には1回生のときにふられている女性。

つまり、小津としては「私」には絶対知られるわけにはいかなかった彼女ですね。

1話で明石さんと「私」の仲を取り持とうと画策したのは、「私」と明石さんの仲を取り持てば自分と小日向さんの仲が「私」にバレても大丈夫…という思惑もあったのかもしれませんね。

だから1話で「私」が明石さんにアタックしないなら「(自分が)取ってやろう」と言ったのは大嘘。小津には小日向さんがいるからそんな気はさらさらなくて、優柔不断な「私」をたきつけていただけですね。

そのあたりは置くとしても、明石さんと「私」を結び付けようとしたのは小津なりの友情のような気がしますね。

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